2008年5月23日金曜日

第四課題 「風の塔」

都市の風景をかたちづくるのは、さまざまな要素がからみ合って成り立っています。そこには、必ずしも機能的、功利的な追求で決定されたものばかりが集まっているのではありません。機能を超えた形態の美しさを追求することは建築を考える上でとても大切なことです。
そこで、風を想起させる塔もしくは風を利用した塔を考えて模型で表現してください。

* 空想的な塔ではなく、現実的な素材を想定した表現をしてください。

提出物:
・ 1、立体模型 275mm*275mmの台にのる模型(スケールは自由です。)必ず人を1人以上模型の中に入れてください。
・ 2、模型の意図がわかるダイアグラム、断面図もしくはパースを、別の275mm*275mmの台紙に描いてください。
・ 1と2の台紙は折りたためるようにしてください。
・ 学籍番号、名前、タイトルは2の台紙に記入してください。

出題日 2008年5月14日
提出日 2008年5月21日
講評日 2008年5月28日

出題 日置拓人

2008年5月21日水曜日

5/21 リンゴのイメージ講評

1G06D804 KOBAYASHI ERI  A+++







林檎の皮剥きから発想した作品は、いくつかあったが、その中でこれは飛び抜けて秀逸である。圧倒的な量の帯。堅くなるまで何重にも、しっかりと巻き続けることで出来上がってくる実体は、皮と芯だけなのに、中身のつまった林檎よりもはるかに充実した迫力を発生させている。(箕原)

1X07A086 作井 允 A+++







ワイヤーで作られた一見単純な形の林檎。それだけでも美しい模型の佇まいなのだが、それを電動で回転させることによって、立体的な林檎が出現する。そのリアルな林檎も整合的で美しい。抑制された外観のなかに確実に動く機構が隠されており、その作りもしっかりしていてとてもいい模型である。(箕原)

1X07A085 坂本浩気 A++







造形に関心の中心をおいた作品が多いなかで、「かじる」という所作・行為に着目し、そこから出発して造形に至ったところが面白い。(池村)

1X07A081 斉藤竜太 A+







「回帰」と題されている。リンゴの実を基に、植物的造形原理を表現したものと思われる。植物の原形質、ティピカルという事だと思う。(池村)

1X07A159 M.HORI  A++







POPあるいはジャンクアート的で留まっているという見解をこえて、久し振りの強い表現にであった。リンゴのイメージによる立体から「内向的圧力とその形相」というタイトルを抽出し、その抽象的語彙の背後にある激情的イマージュを「歯槽膿漏者がリンゴをかじったときの歯茎から噴きでる血」による深紅によって表出した決断を評価したい。(入江)

1G06D701 飯塚 哲平 A++







さびた鉄板の中から、針金が飛び出している。さびた鉄板は、リンゴの皮であろう。中央の塔はリンゴの枝であるのか、芯であるのか不明である。どちらにしても生命感が感じられる。動的なものと静的な表現が、リンゴを想起させる。(日置)

1X07A120 AYAKO.T A++







木を削り出し、リンゴをつくり出す様子を表現している。彫刻的なリンゴをイメージさせるが、リンゴの皮の表情が部分的にあらわれていたらもっとよかったと思う。木片を焼いたり、けずったりした跡が見られ、“行為”が伝わってくる。やはり彫刻刀では削れないだろう。(日置)

1X07A080 SAITO AKIKO  A++







りんごの軸の傾きを起点に、きれいな立体に仕上げたおしゃれな作品。歪んだ直方体が五つ並んでいるだけだが、なにか不思議な魅力を感じる。それは、数学的な発想から得た抽象的な構成の中に生物的な曲線美が見出せるかたではないだろうか。土台がやわらかく、立体が揺れるのも良い。もう少し素材に対する執着が感じられるとよかった。(魚本・鈴井)

1X07A137 西沢和也 A++







リンゴの形をくぼみで表現している。赤の色が微妙に色を変えているのがとてもよい。リンゴの芯が白であるが、ここが茶色であると、リンゴをより深く感じることができるであろう。井戸のような形は、都市的な造形を彷彿とさせる。(日置)

1X07A119 TANABE MAYUKO A++







リンゴを4つに分割し、回転させることでリンゴを形づけている。“扇子”を応用した形であろう銅板が、さびていたら、より生命感が表現されたかと思う。リンゴの果物としての手軽さがうまく表現されている。(日置)

1X07A029 遠藤彩和 A++







リンゴの集積としてのリンゴ。不気味な色調と粒子感。何か漠然とした不安や抑圧された感情が秘められているように感じる。(池村)

1X07A021 AKIKO IMAI  A++







立体物としてのリンゴの、表面性および被膜性に着目した展開と解体に基づく内部暴露と、展開体としての再立体化。塗装や端部形状が雑なこと、土台に堅牢生がとぼしいことが残念。(池村)

1X07A035 大森葉月 A++







「生の真実」林檎のもつ生の感じが、如実に出ている。それは3カ所が不思議な状態になっていることによる。芽が出ている所、耳がくっついている所、中身が吹き出している所。それらによってリアルな普通の林檎を、シュールでイマジナリーなものに転化することに成功している。(箕原)

1X07A142  根元友樹 A++







3D from 2D from 3D
「リンゴを切ったらできた平面からできた立体からできたリンゴ」という副題。りんごという立体を、人工的な物質に置き換えていく行為を表わした作品。球体によるこのような積層の作品は昔からあったが、不定形さを包むりんごを扱うことで、微妙に手の痕跡が出る。(箕原)