2008年7月8日火曜日

夏期課題について






設計演習Bお疲れさまでした。
皆さんの作品それぞれに個性が顕われていて、TAとしても非常に興味深いと感じました。

さて、夏期課題についてです。
設計演習Bの成績には夏期課題も含まれますので、必ず提出してください。
提出期限は8月27日17:00迄、一週間前から入江研究室前に提出BOXを設置しますので、そちらに提出してください。
また、海外旅行などの理由で直接提出できない場合には、TAに連絡の上、郵送でお願いします。

もう一点、55号館N棟一階、EV前に演習ギャラリーがあるのですが、前期作品を一部掲載しました。
ご覧下さい。

TA 鈴井 良典

2008年7月7日月曜日

ほね画像(高画質)

1X07A112 たぐち ともこ A+++








ワーゲンの一生をコミカルに描いている。ワーゲンに対する日本人の愛着を、うまく表現している。車の死は、私たちは、車検の期限がひとつの節目となり、捨てるときは何か悲しい気持ちになってしまう。どこか、“機関車やえもん”のような擬人的な文章はむしろなくてもよかったのではないだろうか。本課題に、うまく答えている大変すぐれた作品である。(日置)

1X07A050 上倉 利香 A+++








バスの発券機の変化をとらえ、克明に描いている。ものの死は単に朽ち果てていくから消滅するのではなく、その機能を含制度が変わることで、ものがなくなっていく。エコロジーとか情報化の流れで、目まぐるしく物が消費されていく。そのような消費文化を皮肉に批判しているような気がする。(日置)

1X07A110 SATORU TAKITA A++








Manhattan
タバコの吸いかけ、そこから出る細い煙の背後には、深い闇が広がる。一転して、灰皿の中に吸殻と一緒に高層ビルが入っている。よく見ると建設中のクレーンも見える。死と再生について様々なことを連想させる。(箕原)

1X07A142 根元 友樹 A++








鉛筆、芯削り、削られた木部を描いている。折れた芯は削られて鋭がってるのに、根元からボッキリ破断されている。鉛筆の「死」と、薄く羽のように展開される削り屑が、新しい鉛筆の登場を促している。折れた芯と削り屑の対応が秀逸である。(入江)

1X07A003 赤山 樹 A+








シャワーグリップから、降りおろされる、止めどもない湯。浴槽底にそって流れる湯が排水口にそって渦巻いている。浴室を利用している人の存在が、この場の雰囲気の不安感を募らせる。生活の日常の道具を使って、また床面すれすれの視点の選択によって、「死」の予感を表出した佳作である。(入江)

1X07A159 M.HORI A++








標本というのは、物本来の姿を失った、まさに「物」の墓場なのかもしれない。同じ大きさの入れものにそろえて入れられ、きれいに並べられた標本の姿は墓場そのものかもしれないが、標本にされることで永遠の命を与えられる、ということかも知れない。(池村)

1X07A086 MAKOTO SAKUI A++








木の板に、新聞の断片をはりつけ、さびの出た釘を乱打し、荒々しくニスを塗りまくった作品。意味もなく、メチャクチャに打ち付けられた釘とはりつけられた紙片、本来の意味を失い、無意味なものになりさがったようにも見えるが、ひとつの芸術作品として再生している、そういうことかもしれない。(池村)

1X07A015 石井 千晶 A++








「生と死のアダージオ」徒然曜日という吉田ゐさおの詩が添えられている。地面から水が生まれて、使用されて蒸発し、また最初に戻る。それを音楽のくり返しになぞらえていて、淡い透明水彩の美しさと相俟って、すがすがしい作品となっている。暗くなりがちな「死」のテーマからうまく脱している。(箕原)

1X07A161 SHOTA HORII A++








おそらく、ゴミ箱の中身を取り出し、接写した写真をレイアウトしたもの。ゴミ箱は文字通り、ものの墓場であろう。その中の、本当にとるにたらない存在であるはずの、そのゴミが接写されることで、物本来の姿を取り戻し、生き返っている言える。(池村)

1X07A174 村岡 拓見 A++








形態に布をかぶせることで物を消去していくのは、星の王子様の逆の状況であろう。物が空間化していくことが“死”と結びついていくかは疑問である。むしろ物の情報が少なくなることで、人は想像力を働かせ、新しい物が立ちあらわれてくるのかもしれない。それこそが“生”の発見になることと思う。(日置)

1X07A148 長谷川 容子 A+








薪能であろうか、ろうそくの火を前にして、演者が正座している。おそらく主役は幽霊なのであろう。序破急の展開の中で生から死へ、または成仏できずにこの世に未練の残る霊が死をまっとうする物語なのかもしれない。(箕原)

1X07A114 竹花 洋子 A++








ローマ水道か城壁の廃墟の風景。日本には歴史的建造物が少ないが、ヨーロッパの都市にはいたるところに廃墟が散在している。アルド・ロッシの「都市の建築」の主題を連想させるが、都市の再生の力を表現してほしかった。物の朽ち果てるさまへの郷愁の範を超えてほしかった。(日置)

1X07A162 堀越 理沙 A++








廃墟をひたすら、精緻に克明に描いてる。鉛筆で描いたドローイングだが、風にゆれるカーテン、ほこりの幕、くもの巣などが、透明感に溢れる筆致で、丹念に描かれている。廃墟の美とは、まさしく死と再生の美なのだろう。(池村)

1X07A122 田村 正 A++








分厚い作品。大小のグラデーションの蝶番8つによって展開される。壁と開口部/扉が綴れ織りに作られている。制作の精度が高い。開口部/扉の中心に向かってScaleが大きく捉えられていく。多様な扉のデザイン、枠廻りの表現などこの作品にかけた力量を感ずる作品。繰り返される空隙の無効に、巨大な空虚(死)があるのだろう。(入江)

1X07A032 大石将平 A++








表紙の文字も含めてすべて髪の毛を一本一本貼り付けて描いてきている。おそらく自分の顔であろう。特に顔の部分を髪の毛で被った絵の方は、ゾッとするほど衝撃的である。(箕原)